5th DIGITAL SINGLE

哀愁のメランコリー feat. 成田昭次

2021.3.31 Release

曲のアタマから、びっくりした。

〈ワナ! ワナ! ワーナー!〉なのである。ザ・ヴィーナスが1981年に放ったヒットナンバー「キッスは目にして!」をオマージュした〈ワナ〉がもう頭から離れない。あいだに入るティンパニーの男性っぽい迫力とサーフミュージックを彷彿とさせる、か細くも華やかな女性っぽいエレキギターサウンドが絡まり、Q.タランティーノの映画を彷彿とさせる雰囲気でを開ける物語は、何やらのっぴきらない恋の行方だ。

ボーカルに成田昭次をフィーチャリング、というか完全にデュエットの世界が繰り広げられる。タイトルの言葉遣い、サウンド、歌のムードと有り余る昭和感を身に纏いながらも、ただのナツメロにならないのがLittle Black Dress流の歌謡曲だと言える。特に歌詞の世界観が圧倒的に過剰で、かつ感覚的、こちらはまさに令和ならではといった趣だ。

人と人を繋いでくれる曲になって欲しいと願って詞を書かせてもらいました」と本人が言うとおり、歌詞の中で描かれるシドアンド・ナンシーのような破滅的な男女の恋の裏側に、コロナ禍で人と人とがなかなか直接会えない現状を読み取るのは、今を生きる我々だからこそ可能だ。

Little Black Dressが描く、時代を超越した歌謡曲――さの漂う物語の果てに何を見るか? 大切なものを手渡される確かな感触の残る楽曲だ。そして、すべてのリスナーの中でそれぞれの物語が始まる。

文:谷岡正浩